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大規模水田水管理を支援する1000圃場規模センサネットワークによるスマート農業の実証開始と技術普及へ
◯先端的IoTとビッグデータ技術を大規模稲作経営に活かす
農匠ナビ1000コンソーシアム(次世代大規模稲作経営革新研究会、福岡市、研究代表者:九州大学大学院農学研究院・教授 南石晃明、以下、農匠ナビ1000)と株式会社イーラボ・エクスペリエンス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:小池聡、以下イーラボ・エクスペリエンス)は、世界初となる水田圃場大規模センサネットワークの実証開始とその研究成果を活かした水田センサの商品化を行いました。これにより、水稲経営における水管理の省力化・精密化が期待できます。
- ■農匠ナビ1000成果発表
- 本実証研究は、農匠ナビ1000「農業生産法人が実証するスマート水田農業モデル(IT農機・圃場センサ・営農可視化・技能継承システムを融合した革新的大規模稲作営農技術体系の開発実証)」の一環として実施するものです。
- プロジェクトサイト:http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/keiei/NoshoNavi/
- 農匠ナビ1000では、最適稲作技術パッケージの開発実証を目指していますが、その一環として大規模稲作経営(大規模な農家や農業生産法人)の水田環境情報や農作業情報をビッグデータとして収集・蓄積・可視化するスマート水田農業の研究を九州大学が中心となり推進しています。
- 農匠ナビ1000の最新研究成果について、農業情報学会オーガナイズセッションOSで発表します。
- 日時・場所:2015年5月14日(木)13~17時、東京大学農学部弥生講堂
- 農業情報学会2015年度年次大会オーガナイズドセッションOS(農匠ナビ1000プロジェクト成果発表)
学会プログラム:https://www.jsai.or.jp/?page_id=68 - ■水田センサの開発実証と製品化
- 水田の水管理は、稲作において収量・品質向上へ重要な栽培管理内容となりますが、浅水、深水、間断灌水などを行うための水位・水温等の水田環境情報の観測手段に乏しく、人的な見回りが広く実施されています。今まで、1000圃場規模の水田の水位・水温を安定的に屋外環境下で計測できる小型、省電力のセンサ装置は存在しませんでした。このため、本実証研究では農業生産法人4社の約1000圃場へ新規開発の水田センサを設置し(水田用では世界初の大規模実証)、ネットワーク化による環境計測網を構築して、広域水田圃場の水管理を省力・高精度で行える仕組みをつくり、収量・品質向上、大規模化、低コスト化につなげます。
- 農匠ナビ1000では、イーラボ・エクスペリエンスおよび富士通グループ等の協力を得て、水田圃場環境スマートセンサネットワークと融合した営農可視化システムFVSクラウドシステムの開発を行いました。水田センサ本体にはイーラボ・エクスペリエンス社製(特注品)を採用し、通信モジュールには富士通株式会社「WisReed通信モジュール」を採用しています。
- ■製品化と技術普及へ向けた取り組み
- イーラボ・エクスペリエンスは、農匠ナビ1000と共同で水田圃場環境センサの試作・圃場試験を実施し、同コンソーシアムの定めた基本仕様に基づいて本実証研究で用いる1000台の装置の開発・製造を行いました。
- その成果・ノウハウを活かして、水田センサ(製品名:PaddyWatch)の製品化を行います。スマートフォンおよびタブレットおよび時計型ウェアラブルコンピュータより遠く離れた水田の水位・水温を監視することが可能となります。
- 本製品は、我が国の米つくりの産地品質向上に向けた技術の高度化を目指しており 大手携帯通信事業者ならびに農林水産省と全国都道府県に組織化される約6700人の技術普及組織と連携し、新たなスマート農業を取り入れた水田栽培技術普及に取り組みます。