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ため池の事前放流を支援する「ため池⽔位管理情報システム」の提供販売を開始

2024年 11 月 1 日
ベジタリア株式会社

 

ベジタリア株式会社グループと農研機構の共同開発
ため池の事前放流を支援する
「ため池水位管理情報システム」の提供販売を開始

 

プレスリリースの概要
 ベジタリア株式会社(渋谷区 代表:小池聡、以下ベジタリア)と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(理事⻑:久間 和生、以下農研機構)の両グループは、内閣府の官⺠研究開発投資拡大プログラム(PRISM)からの支援を受け、農業用ため池における防災および利水の観点から、ため池水位の遠隔監視および、ため池が持つ洪水調節機能の活用をより有効におこなうための「事前放流可能水位」と「回復貯水量」の予測シミュレーション機能を実装した「ため池水位管理情報システム」を開発しました。今回、ベジタリアではシステムの提供販売を開始いたしました。

 

【共同開発の背景と目的】
 近年のゲリラ豪雨や線状降水帯などの発生などによる、ため池の被災や関連する水路の氾濫などによる水害の拡大が懸念されております。加えて、ため池・用水路管理者の高齢化や、担い手確保の難しさから、ため池の管理そのものが難しくなってきております。
 また、大雨や台風のなか、ため池現地まで目視確認にむかうのは、非常に危険な行動となります。
 その一方、ため池の持つ洪水調節機能については、農地等の浸水被害の防止や河川の治水対策への貢献など、その機能の活用が期待されているところです。
 これらの課題解決の一助となるべく、ため池を遠隔から監視管理できる「ため池水位管理情報システム」を農研機構と共同開発し、ベジタリアからの提供販売にいたっております。

 

【提供システムの内容】
1.ため池水位監視機能
 ため池や用水路の水位監視をおこなう水位センサー(例:株式会社イーラボ・エクスペリエンス 社製 Field-EX FE-3000 水位計)、現地の雨量監視をおこなう雨量センサー (例:同社製 Field-EX FE-8000 雨量計)、屋外用乾電池式 IoT カメラ(例:同社製 FieldCam FC-1000)の、ため池監視データを遠隔からお手持ちのスマホやパソコン、タブレット端末に表示することができるとともに時系列グラフでの表示や過去データの取得が可能となっています(図1)。

 


図1 ため池監視に関わる画面表示例

 

 また、水位の上昇など、複数段階のしきい値を設定しておくことで、アラート情報がメールや LINE にて通知され、関係各位への周知が迅速に可能となっています。

 

2.事前放流可能水位、回復貯水量の予測シミュレーション
 ため池はかんがい用水を貯水する施設です。かんがい期間中に事前放流を行う場合には、かんがいに支障のない範囲内で放流する必要があります。
 そこで、「ため池水位管理情報システム」では、大雨による貯水の回復量を予測し、事前放流可能な水位を計算します。
 計算(図2)では、まず気象庁配信の予測降雨データにより、放流終了時点(1 〜 3 日先に設定)から空き容量の回復を見込む時点(4 〜 11 日先に設定)までの期間の「①回復貯水量」(降雨による貯水の回復量)を求めます。次に、降雨による回復目標水位とし て設定する「②目標水位」に対応する「③目標貯水量」から「①回復貯水量」を差し引き、この貯水量に対応する水位である「④事前放流可能水位」を求めます。
 さらに、管理者が直感的に分かり易い指標として、水位センサーによる「⑤観測水位」と「④事前放流可能水位」の水位差を計算し、現時点で事前放流できる水深である「⑥現時点の水位差」を求めます。
(特願2023−183489)

 


図2 計算手法の概要

 


図3 計算結果の表示例(事前放流可能水位の計算)

 


図4 計算結果の表示例(回復貯水量(水位で表示)の計算)

 

【今後の展望】
 「ため池水位管理情報システム」としては、
1 現地での水位情報等の監視
2 予測計算による「事前放流可能水位」「回復貯水量」の予測機能
が実装でき、この度、ご提供が開始できますので、次に、
3 水門開閉の遠隔操作機能を追加開発し、危険な状況や緊急時などの際に、遠隔から安全に水門の開閉制御ができるようにいたします。また、事前スケジュール設定などによる自動開閉、予測機能に基づく洪水調節機能強化のための事前放流における水門開閉を自動でおこなえるように機能実装して参ります。

 

リリースに関するお問い合わせ先
ベジタリア株式会社
TEL: 03-6416-5525
〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町 26-1 セルリアンタワー15F
Email: info@vegetalia.co.jp

 

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